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税制改正

令和3年 税制改正-個人所得税・資産税-【youtube】

2021.04.22

<個人所得課税・資産課税>

1.住宅ローン控除の特例措置の延長、床面積の要件緩和
個人が住宅ローンを利用して、住宅の新築・取得・増改築等をした場合に住宅ローン残高の一定割合を所得税額から控除する制度について、次のような措置が講じられています。

①消費税率10%が適用される住宅の取得等(※1)をした個人が
②その取得等をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間に
③その者の居住の用に供した場合には
控除期間を3年延長し、13年間控除できることとなります。

※1 新築の場合→令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間内に契約が締結されていること
建売等の場合→令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間内に契約が締結されていること
また床面積要件が緩和され、適用を受ける年分の合計所得金額が1,000万円以下であれば、40㎡以上50㎡未満であっても控除が可能となりました(改正前は50㎡以上)。
なお控除額は1~10年目まではローン残高(※2)の1%(※3)、11~13年目は建物購入価格(※2)の2%÷3の範囲で税額控除ができます。
※2 4,000万円が限度
※3 控除額は40万円が限度

2.土地の固定資産税の負担を軽減する特別措置
新型コロナウイルス感染症の影響による経済状況等を踏まえ、令和3年度に限り、次の措置が講じられます。
①固定資産税の税額が増加する宅地等及び農地については、令和2年度の課税標準額に据え置き、令和2年度の税額と同額になります。
②地価下落によって税額が減少する場合は、そのまま税額を引き下げます。

3.子・孫への住宅取得等資金の贈与における非課税限度額の引き上げ等(贈与税)
祖父母・父母から子・孫(※)が住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の見直しが行われました。
(※)子・孫は贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上、贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であることが要件です。

①令和3年4月1日から令和3年12月31日までの間に、住宅の新築等の契約を締結した場合には、非課税限度額が引き上げられます。
(1)消費税率10%が適用される住宅
耐震、省エネ住宅等→1,500万円(改正前は1,200万円)
一般住宅     →1,000万円(改正前は700万円)
(2)(1)以外の住宅
耐震、省エネ住宅等→1,000万円(改正前は800万円)
一般住宅     →  500万円(改正前は300万円)

②子・孫の合計所得が1,000万円以下であれば、床面積要件の下限が50㎡から40㎡以上へと引き下げられました。
※相続時精算課税の特例における床面積要件についても、下限が40㎡に引き下げられます。

これらの見直しは令和3年1月1日以後の住宅取得等資金の贈与から適用されます
(期限は令和3年12月31日までで変わらず)。

4.子・孫への一括贈与の非課税措置の見直しと延長(贈与税)
祖父母・父母(贈与者)から子・孫(30歳未満)が教育資金を一括贈与された場合の贈与税の非課税措置(1,500万円まで)について、以下の見直しを行ったうえで、適用期限が2年延長されます。

(1)これまでは、贈与者が死亡した時点での贈与資金の使い残し(残額)については、贈与から3年以内の死亡に限り、残額が相続財産に足し戻されて相続税の対象となっていましたが、子・孫が下記(イ)(ロ)(ハ)に該当する場合を除き、贈与からの年数にかかわらず相続財産に足し戻されることになりました。

(イ)23歳未満
(ロ)学校等に在学している
(ハ)教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受講中

(2)(1)の結果、子以外の直系卑属(孫やひ孫)に相続税が課税される場合には、残額に対する相続税額が2割加算の対象とされることとなります。
令和5年3月31日までの贈与について適用されます。

②結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置
祖父母・父母(贈与者)から子・孫が結婚・子育て資金を一括贈与された場合の贈与税の非課税措置(1,000万円)について、以下の見直しを行ったうえで、 適用期限が2年延長されます。

②結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置
祖父母・父母(贈与者)から子・孫が結婚・子育て資金を一括贈与された場合の贈与税の非課税措置(1,000万円)について、以下の見直しを行ったうえで、 適用期限が2年延長されます。
(1)子・孫の年齢要件の下限が20歳から18歳に引き下げられます。
(令和4年4月1日から)
(2)贈与者が死亡した時点での贈与資金の残額について、子以外の直系卑属(孫やひ孫) に相続税が課税される場合には、残額に対する相続税額が2割加算の対象とされることとなります。
令和5年3月31日までの贈与について適用されます。

5.退職所得課税
勤続年数5年以下の短期退職手当等に係る収入金額から退職所得控除額を控除した 残額のうち300万円を超える部分については、退職所得控除後の金額を2分の1にするという優遇措置を適用しないこととされました。令和4年分以後の所得税から適用されます。

6.同族会社が発行した社債利子等
同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊関係のある者等が支払いを受けるものについても総合課税の対象とされました。
同族会社の株主がその同族会社から支払を受ける社債の利子については、総合課税の対象とされていますが、間に別の同族会社を介在させることで分離課税への転換ができてしまうことから、総合課税となるよう改正が加えられました。

7.国税関係書類の押印義務(納税環境整備)
国税関係書類の押印義務について、次の書類を除き廃止されます。
①担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
②相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

地方税関係書類の押印義務についても、国税と同様に廃止されます。
令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類等について適用されます。

8.電子帳簿保存制度の見直し(納税環境整備)
以下の見直しが行われました。
①事前承認制度の廃止
②帳簿書類の電子保存については
(1)閲覧用モニター(PC等)、説明書の備付け等
(2)検索機能、訂正削除履歴の確保等のうち、最低限(1)を満たせば電子保存が可能になります。
両方満たせば、修正申告等があった場合の過少申告加算税の税率が5%軽減されます。
③スキャナ保存については
(1)タイムスタンプの付与の日数期限が、3日以内から最長約2ヶ月以内にまで緩和されています。
(2)定期検査実施までは原本の廃棄が不可でしたが、スキャナ後すぐに原本を廃棄できるようになります。
(3)2名以上での事務処理が必要でしたが、1名での事務処理も可能となります。 など

9.個人住民税の特別徴収税額通知の電子化(地方税)
次のような見直し等が行われます。
給与所得に係る特別徴収税額通知(特別徴収義務者(=会社)用)について、eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者が申出をしたときは、市町村はその通知の内容をeLTAXを経由して特別徴収義務者に提供しなければならないこととされます。
令和6年度分以後の個人住民税について適用されます。

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