当事務所には様々な業種のお客様がいらっしゃいます。
業種によって、特有の税務処理が存在します。
そんな中から、不動産仲介業のお客様特有の処理をご紹介。
テーマは、売上の計上基準です。
国税庁より「不動産の仲介あっせん報酬の帰属時期」として通達が出されています。
その通達は、土地、建物等の売買、交換又は賃貸借(以下「売買等」という。)の仲介又は
あっせんをしたことにより受ける報酬の額は、原則としてその売買等に係る契約の効力が
発生した日の属する事業年度の益金の額に算入する。
というもので、お客様同士の契約が成立したタイミングで、
仲介あっせん報酬の売上を計上するということです。
しかし、この通達には続きがあります。
ただし、法人が、売買又は交換の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額について、
継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、
当該金額についてはその収受した日)の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、
これを認める。
というものです。
つまり、お客様同士の契約が成立したタイミングではなく、
お客様同士の取引が完了したタイミングで、仲介あっせん報酬の売上を
計上するということも認められるということです。
不動産仲介あっせん業においては、なぜ、このような対応がとられているかというと、
もし仲介あっせんをした物件に問題があった場合に備えた対応といえます。
宅地建物取引業法を所管する国土交通省では、不動産仲介あっせん業者の役割は、
取引完了まで責任を負うべきものとされており、その役割が完了するまで役務の提供が
完了していないという考えもできるからです。
したがって、不動産仲介あっせん報酬においての売上の計上基準は、
契約が成立した日 又は、 取引が成立した日 の選択適用が可能ということです。
ご注意いただきたいのが、どちらも継続適用が条件となります。
そのため、取引ごとに基準を変えることはできません。