定額減税がある場合の年末調整業務
もうすぐ年末調整の時期がやってきます。今年度は定額減税もあり、例年よりも注意すべき点が多くなりますので、早めに確認して年調業務に備えましょう。
定額減税で月次減額している場合、次の流れで年末調整において定額減税額の精算を行います(年調減税事務と言います)。
1 対象者の確認
2 年調減税額の計算
3 年調減税額の控除
1について
定額減税の計算の基礎となる同一生計配偶者、扶養親族等の人数を把握するため、従業員などから扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書してもらいましょう。
令和6年中の所得金額の見積額が1000万超の給与所得者の同一生計配偶者を年調減税の計算に含める場合は、「年末調整にかかる申告書」の提出を受ける必要があります。
国税庁では、「令和6年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を作成しているので、こちらの利用が便利です。
また、各従業員について、その人の合計所得金額が1805万円を超える場合は年調減税の適用ができません。さらに、同一生計配偶者や扶養親族の合計所得金額が48万円を超える見込みである場合においても、その配偶者等は年調減税の計算に含めることができません。そのため、提出を受けた申告書に記載されている、従業員本人や配偶者等の合計所得金額の見積額を適宜確認する必要があります。
2について
控除することとなる年調減税額は、本人3万円+同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円 の合計額で計算します。
この金額を、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を引いた後の所得税額(年調所得税額と言います)から控除します。これに102.1%を乗じ、復興特別所得税を含んだ年調年税額を算出することにより最終的な年税額を求め、各従業員の精算します。
3について
源泉徴収票には新たに、摘要欄に、控除した金額を「源泉徴収時所得税減税控除済額〇円」と、年調減税額のうち控除しきれなかった金額を「控除外額〇円」と記載します。控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」と記載します。
なお、引ききれなかった金額(=控除外額)は、調整給付のうち、令和7年に実施する不足額の給付の額算定の基礎となるとのことです。必ずしも控除外額と不足額給付の額は一致しないとのことですが、清算される見込みとなっています。
今回は年調減税事務の概要について説明しました。
場合によっては複雑な判断が必要となるため、必ず国税庁が公開する情報を確認しましょう。ご不明点等ございましたら、監査担当者にご相談ください。
エンカレッジでは、年末調整のやり方について、動画にて説明する予定です。詳細は監査担当者にお声掛けください。
参考:国税庁『令和6年分所得税の定額減税Q&A』
国税庁『令和6年分 年末調整のしかた』