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コラム

企業向け個人向け掲載日:2021.10.29

【年末調整の提出書類について】その②

  • 税務会計
  • 年末調整

[3] 《保険料控除申告書》

年末調整では、生命保険料や地震保険料なども控除対象になります。
そこで、保険料控除申告書を用いて、控除の対象となる生命保険料や地震保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金などに1年間で支払った額から控除額を算出します。

(1)生命保険料控除欄(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)
 生命保険料控除は、契約した時期が2011年12月31日以前(旧保険料等)か2012年1月1日以降(新保険料等)かによって取り扱い方が異なります。
 そのため、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に分類した上で、それぞれ旧保険料・新保険料ごとに計算し、生命保険料控除額を算出します。

(2)地震保険料控除欄
 対象となるのは、従業員本人またはその本人と生計をともにする親族が所持している家屋・家財で、特定の損害保険契約等によって地震等損害部分の保険料あるいは掛金を、
 従業員自身が支払ったものに限られます。なお、2007年以降、損害保険料控除は廃止されましたが、経過措置として国税庁が定める要件を満たせば、
 一定の長期損害保険契約等による損害保険料については引き続き地震保険料控除の対象となります。

(3)社会保険料控除欄
 国民健康保険や国民年金といった保険料や保険税、掛金などを、従業員が直接支払っている場合や、本人と同じ生計で暮らす親族の社会保険料を従業員が支払っている場合に記入します。

(4)小規模企業共済等掛金控除欄
 小規模企業共済法に則った共済契約で掛金等を支払った場合や、確定拠出年金(iDeCo)など給与から天引きされていない掛金がある場合に記入します。

◎「保険料控除申告書」は、記載内容を裏づける生命保険や地震保険等の控除証明書を添付する必要があります。
 控除証明書は、加入している保険会社から毎年10月頃に契約者の自宅に送られるので、年末調整まで紛失しないよう注意を促しましょう。
 ただし、これまでは紙の証明書で提出するのが通例でしたが、現在は電子データでの提出も可能となっています。

[4] 《その他の書類(住宅借入金等特別控除申告書、源泉徴収票)》

上記[1]〜[3]以外にも、以下に該当する従業員は、別途提出が必要な書類があります。

(1)住宅ローンを利用しマイホームの取得等をした人
 →【住宅借入金等特別控除申告書+融資額残高証明書+年末残高等証明書等】
 住宅ローン等を利用してマイホームを購入、新築、増改築した場合、一定の要件を満たせば「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」が受けられます。
 これらの控除は、購入や新築、増改築のために組んだローンの年末残高合計額を基にして計算した金額を、その物件が居住用に使われた各年分の所得税額から控除するというものです。
 適用の初年度は、従業員本人による確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で対応できます。
 年末調整で控除するには、「住宅借入金等特別控除申告書」と、住宅金融支援機構が発行する「融資額残高証明書」、ローンを利用した金融機関等が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
 の提出が必要です。(住宅借入金等特別控除申告書は、従業員本人が税務署に依頼すれば取得できます)
 なお、住宅ローンを利用しない場合で、一定の要件下で適用される「住宅耐震改修特別控除」「住宅特定改修特別税額控除」「認定住宅新築等特別税額控除」を受ける場合は、確定申告となります。

(2)転職で中途入社した人
 →【前の勤務先での「源泉徴収票」】
 中途入社の場合、前の勤務先でも所得税等を給与天引きで支払っている可能性があるため、それらと自社での天引き分とを合算して年末調整をする必要があります。
 一般的に、退職後1カ月以内には退職した勤務先から源泉徴収票を受け取ることができます。転職してきた従業員には早めに声をかけて、前の勤務先が発行した源泉徴収票を用意してもらいましょう。

参照:国税庁HP https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/kyuyosyotokusya.htm

年末は忙しくなりますので、今から従業員への呼びかけを始めましょう。
また、今年度から提出書類への押印が原則不要です。予めご確認ください。
ご不明点等は当事務所までお気軽にお問い合わせください。